行列式の定理 1


1.

\(
\begin{vmatrix} \displaystyle
a_{11} & a_{12} & \ldots & a_{1n} \\
0 & a_{22} & \ldots & a_{2n} \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & a_{n2} & \ldots & a_{nn}
\end{vmatrix}
= a_{11}
\begin{vmatrix} \displaystyle
a_{12} & \ldots & a_{1n} \\
a_{22} & \ldots & a_{2n} \\
\vdots & \ddots & \vdots \\
a_{n2} & \ldots & a_{nn}
\end{vmatrix}
\)

【証明】
\( A = (a_{ij}), \ \ a_{21} = a_{31} = \ldots = a_{n1} = 0 \) としよう。このとき行列式は

\( \displaystyle \det A = \sum _{\sigma \in S_{n}} sgn \left( \sigma \right) \, \prod_{i = 1}^{n} \) a_{i\sigma(i)}

である。 \( \sigma(j) = i, \ \ j \geqq 2 \) であれば、その項は \( sgn(\sigma) \prod_{i = 1}^{n} a_{i\sigma(i)} = 0 \) である。したがって、

\( \displaystyle
\begin{align}
\det A & = \sum_{\sigma \in S_n, \, \sigma(1) = 1} sgn(\sigma) \prod_{i = 1}^{n} a_{i\sigma(i)} \\
& = \sum_{\sigma \in S_n, \, \sigma(1) = 1} sgn(\sigma) a_{11} \prod_{i = 2}^{n} a_{i\sigma(i)} \\
& = a_{11} \sum_{\sigma \in S_n, \, \sigma(1) = 1} sgn(\sigma) \prod_{i = 2}^{n} a_{i\sigma(i)} \\
\end{align}
\)

であるのだが、\( \{ 1, 2, \ldots, n \} \) 上の置換のうち、1 を固定するものは、\( \{ 1, 2, \ldots, n-1 \} \) で置換と自然に一対一対応がつき、符号が保存される。よって

\( \displaystyle \det A = a_{11} \sum_{\sigma \in S_{n-1}} sgn(\sigma) \prod_{i = 1}^{n-1} a_{i\sigma(i)} \)

これはまさに定理の主張する式である。



ホモロジー群のホモトピー不変性


このページでは以下を証明する。

二つの連続写像 \( f, \, g : X \rightarrow Y \) がホモトピックならば誘導される準同型 \( f_*, \, g_* \) は等しい。


\( \Delta^n \times I \) を考える。ただし、\( I = [0, \, 1] \) である。\( \Delta^n \times \{0\} = [v_0v_1 ... v_n], \ \Delta^n \times \{0\} = [w_0w_1 ... w_n] \) とおく。ただし、自然な射影 \( \Delta^n \times I \rightarrow \Delta^n \) によって、\( v_i, \ w_i \) は同じ像を持つとする。

\( F : X \times I \rightarrow Y \) をホモトピーとして、プリズム準同型 \( P : C_n(X) \rightarrow C_{n+1}(Y) \) を与える :
\[ P(\sigma) = \sum_{i=0}^{n} (-1)^i F \circ (\sigma \times 1) \, | \, [v_0 \, ... \, v_i w_i \, ... \, w_n] \]

今から示していくのは、このプリズム準同型が f と g の間の chain homotopy であること、すなわち、
\[ \partial \circ P + P \circ \partial = g_{\sharp} - f_{\sharp} \]
を満たすことである。

\[
\begin{align}
\partial \circ P(\sigma) & = \sum_{j \leqq i} (-1)^i(-1)^j F \circ (\sigma \times 1) \, | \, [v_0 \, ... \, \widehat{v_j} \, ...\, v_iw_i \, ...\, w_n] \\
& + \sum_{j \geqq i} (-1)^i(-1)^{j+1} F \circ (\sigma \times 1) \, | \, [v_0...v_iw_i...\widehat{w_j}...w_n]. \\
\end{align}
\]

添字が i = j である項を考える。一番目のシグマの中にある \( F \circ (\sigma \times 1) \, | \, [v_0 ... \widehat{v_i} w_i \, ...\, w_n ] \) と二番目のシグマの中にある \( F \circ (\sigma \times 1) \, | \, [v_0 \, ... \, v_{i-1} \widehat{w_{i-1}}w_i \, ...\, w_n] \) は互いに符号が異なって打ち消され、残るのは

\[ \begin{align}
F \circ (\sigma \times 1) \, | \, [\widehat{v_0}w_0 ... w_n] & = g \circ \sigma = g_{\sharp}(\sigma) \\
-F \circ (\sigma \times 1) \, | \, [v_0 \, ... \, v_n \widehat{w_n}] & = f \circ \sigma = -f_{\sharp}(\sigma)
\end{align}\]
だけである。これは、\( F(x, 0) = f(x), \ F(x, 1) = g(x) \) から導かれる。

添字が j > i, j < i である項については、定義にもとづいて計算すれば分かるようにちょうど \( -P \circ \sigma \) である。したがって

\[ \partial \circ P = g_{\sharp} - f_{\sharp} - P \circ \partial \]

を得た。\( \sigma \) がサイクルなら、\( \partial \sigma = 0 \) ゆえ

\[ \partial \circ P (\sigma) = g_{\sharp}(\sigma) - f_{\sharp}(\sigma) \]

であるから、\( g_{\sharp}(\sigma) - f_{\sharp}(\sigma) \) はバウンダリゆえ、同一のホモロジークラスを生成する。したがって
\[ f_* = g_*. \]

ホモロジー群の記号・用語


ここでは定義を上げるというよりは、特異ホモロジーにおいて差異のある記号や用語を置いておくだけとする。

\( \mathbb{R}^{m} \) の線形独立なベクトル \( v_0, ... , v_n \) に対して、
\[ [v_0 v_1 \, ... \, v_n] = \{ x \in \mathbb{R}^{m} : x = \sum_{i=0}^{n} t_iv_i, \ \ \sum_{i=0}^{n} t_i = 1, \ \ t_i \geq 0 \} \]
と表記する。これを、n-単体という。
標準的基底 \( e_0 = (1,\ 0, \ ..., \ 0), \ ..., \ e_n = (0, \ ..., \ 1) \in \mathbb{R}^{n+1} \) に対し、
\[ \Delta^n = [e_0 e_1 \, ... \, e_n ] \]
として、標準的 n-単体という。

特異ホモロジーでは、位相空間 \( X \) に対して、n-単体 \( A = [v_0 v_1 \, ... \, v_n] \) から \( X \) への連続写像 \( \sigma : A \rightarrow X \) を考える。これを 特異 n-単体 と言い、これら全体の集合を \( C_n(X) \) と書く。
n-単体は線形変換によって標準的 n-単体と同一視されるので、特異 n-単体も \( \sigma : \Delta^n \rightarrow X \) とみなせることに注意しておく。

バウンダリ(境界)の集合を \( B_n(X) \) と書いて、サイクルの集合を \( Z_n(X) \) 書く。また2つの単体のホモロジーにおける同値類が等しいとき、ホモロガスという。

D^n / S^n-1 は S^n と同相

\( D^n = \{ {\rm x} \in \mathbb{R}^n \ : \ |{\rm x}| \leqq 1 \} \) を閉球体として、 \( S^n = \{ {\rm x} \in \mathbb{R}^{n+1} \ : \ |{\rm x}| = 1 \} \) を球面とする。
\( \partial D^n = S^{n-1} \) であるのだが、 \( D^n \) 上で、
\[ x \sim y, \ \ (x, y \in S^{n-1}) \]
から生成される同値関係 \( \sim \) による商空間 \( D^n / \sim \) を簡単に \( D^n \, / \, S^{n-1} \) と書くことにする。今から示すのは、\( D^n \, / \, S^{n-1} \cong S^n \) である。

そのためには、同相写像を作らなければならない。直感的には、円盤の周りをどんどん縮めていって1点にすると球になるという感じだが、そのときの点の中心からの向きや遠さを保つ写像とするのが自然であろう。その写像は、以下のようになる。

f:id:marx_saul:20170402234210p:plain

これを式で表すと

\[ \displaystyle
\begin{align}
\varphi(x) & = \left( \frac{x_1 \sin \pi |x|}{|x|}, \ ..., \ \frac{x_1 \sin \pi |x|}{|x|} \cos \pi |x| \right) \ \ \ \ (x = (x_1, \ ..., \ x_n) \neq 0) \\
\varphi(0) & = (0,\ ..., \ 0, 1)
\end{align} \]

となる。これは計算すれば分かるように、 \( \varphi : D^n \rightarrow S^n \) であり、 \( \displaystyle \lim_{x \to 0} \, \varphi(x) = \phi(0) \) であるから連続写像である。
\( |x| = 1 \Rightarrow \phi(x) = (0, \ ..., \ 0, -1) \) であるから、この写像は、連続写像
\( \overline{\varphi} : D^n \, / \, S^{n-1} \Rightarrow S^n, \ \ \overline{\varphi} \circ p = \varphi \) を誘導する。ただし、 \( p : D^n \rightarrow D^n \, / \, S^{n-1} \) は自然な射影である。

単射性について、 \( \varphi(x) = \varphi(x') \) とするとき、これらが \( (0, \ ..., \ 0, 1) \) なら、\( |x| = |x'| = 1 \) となって \( D^n \, / \, S^{n-1} \) の上で等しくなる。そうでないときは、\( |x|, |x'| \leq 1 \) に注意して、第 n+1 成分を比べることで \( |x| = |x'| \) を得て、その他の成分を比べることで、\( x_1 = x'_1, \ ..., \ x_n = x'_n \) を得られる。

全射性について、 \( y = (y_1, \ ..., \ y_n+1) \in S^n \) を取るとき、 \( y = (0, \ ..., \ 0, 1) \) なら自明であるから、そうでないとして良い。このとき、 \( y_{n+1} = \cos \pi a \) なる \( a \in [0, 1] \) を取って、 \( \displaystyle y_i = \frac{x_i \sin \pi a}{a} \) となるように定めて、 \( x = (x_1, \ ..., \ x_n, a) \) と置けば、 \( \varphi(x) = y \) を得る。

以上で、 \( \overline{\varphi} : D^n \, / \, S^{n-1} \Rightarrow S^n \) はコンパクト空間からハウスドルフ空間への全単射連続写像であるから、同相写像。\( \Box \)