行列式が面(体)積を表すことの証明的な

二次元の平面内 \( O(0,0), \ A(a_1, a_2),\ B(b_1, b_2) \) の三点が作る三角形の面積が \( \displaystyle \frac{1}{2} |a_1b_2 - a_2b_1| \) で与えられることは、高校の数学の教科書にも乗ってる有名事実です。図形的な解釈は、鯵坂もっちょさんのこのツ…

ベクトル空間の基底の濃度の一意性(選択公理を仮定)

タイトルままです。この言明はよく見かける割には証明をあまり見かけないので、備忘録としてここに記しておきます。\( V \) を体 \( k \) 上のベクトル空間として、 \( A, B \subseteqq V \) をそれぞれ一次独立な集合及び基底とします。今から、\( B \) の…

Monsky の定理 − その3 (証明)

<前 ここではいよいよ証明に入って行きます。まず前回の議論から、2-進付値の拡張 \( |\cdot|_2 : \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \) を固定しておきます。面倒なので添字の 2 は省略します。ここからは座標平面で考えましょう。まず座標を以下のように…

Monsky の定理 − その2 (付値)

<前 後> ここでは付値についての準備をします。少々長くなりますがお付き合いください。体 \( K \) と全順序アーベル群 \( ( \Gamma, 写像 \( v : K \rightarrow \Gamma \cup \{ \infty \} \) が(加法)付値であるとは、以下の条件を満たすことを言う : 1. \(…

Monsky の定理 − その1 (Sperner の補題)

後> 1970 年、数学者 Monsky によって次の定理が証明されました。正方形が n 個の等積な三角形に分割されるとき、n は偶数である。この問題は 1965 年に Fred Richman がテスト勉強に向けて準備している時に思いつき、提起されたものです。この定理はなんの…

二次の整数環の分類

\( n \in \mathbb{Z}\) を平方因子を持たない整数として、\( K = \mathbb{Q}(\sqrt{n}) \) の整数環( \( \mathbb{Z} \) の整閉包)の分類をします。目標は以下を示すことです。定理 \( K \) の整数環 \( \mathcal{O}_K \) は、\( \mathbb{Z}[\sqrt{n}] \ \ …

多項式の最小分解体のガロア群

次数の低い多項式の最小分解体のガロア群は比較的簡単に決定できます。ここでは判別式を使う方法を紹介します。まず、K を標数が 2 でない体とする(標数 2 では使えない)。K の代数閉包 Ω を一つ用意しておく。K 係数の n 次の既約なモニック多項式 \( f(x) …

球面の回転同相

直感的には、n 次元球面 Sn の任意の二点 x, y について、球面の自己同相で x を y に移すものがあるのは自明ですが、証明になかなか苦戦したのでここに書いておきます。\( \mathbb{R}^n \) の元をベクトルとみなして、基底 \( x = x_1, x_2, x_3, \cdots , …

行列式の定理 1

1.\( \begin{vmatrix} \displaystyle a_{11} & a_{12} & \ldots & a_{1n} \\ 0 & a_{22} & \ldots & a_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ 0 & a_{n2} & \ldots & a_{nn} \end{vmatrix} = a_{11} \begin{vmatrix} \displaystyle a_{12} & \ldots …

ホモロジー群のホモトピー不変性

このページでは以下を証明する。二つの連続写像 \( f, \, g : X \rightarrow Y \) がホモトピックならば誘導される準同型 \( f_*, \, g_* \) は等しい。 \( \Delta^n \times I \) を考える。ただし、\( I = [0, \, 1] \) である。\( \Delta^n \times \{0\} =…

ホモロジー群の記号・用語

ここでは定義を上げるというよりは、特異ホモロジーにおいて差異のある記号や用語を置いておくだけとする。\( \mathbb{R}^{m} \) の線形独立なベクトル \( v_0, ... , v_n \) に対して、 \[ [v_0 v_1 \, ... \, v_n] = \{ x \in \mathbb{R}^{m} : x = \sum_{…

D^n / S^n-1 は S^n と同相

\( D^n = \{ {\rm x} \in \mathbb{R}^n \ : \ |{\rm x}| \leqq 1 \} \) を閉球体として、 \( S^n = \{ {\rm x} \in \mathbb{R}^{n+1} \ : \ |{\rm x}| = 1 \} \) を球面とする。 \( \partial D^n = S^{n-1} \) であるのだが、 \( D^n \) 上で、 \[ x \sim y,…