球面の回転同相


直感的には、n 次元球面 Sn の任意の二点 x, y について、球面の自己同相で x を y に移すものがあるのは自明ですが、証明になかなか苦戦したのでここに書いておきます。

\( \mathbb{R}^n \) の元をベクトルとみなして、基底 \( x = x_1, x_2, x_3, \cdots , x_n \) 及び \( y = y_1, y_2, y_3, \cdots , y_n \) に延長する。正規直交化して、二つとも正規直交基底として良い。x, y はもともとどちらの長さも 1 である。

このとき、\( e_1, \cdots, e_n \) を \( \mathbb{R}^n \) の自然な基底とすると、以下で定まる線形写像


$$ e_i \mapsto x_i, \ \ \ \ x_i \mapsto y_i, \ \ \ \ e_i \mapsto y_i $$


に対応する行列をそれぞれ A, B, C とする。A は \( x_i \) たちを縦のベクトルと見て横に並べたもので、C も \( y_i \) たちを同様に並べたものである。A, C の行ベクトルたちは正規直交基底をなすので、A, C は直交行列である(直交行列の5つの定義と性質の証明 | 高校数学の美しい物語

また、\( C^{-1}BA \) は明らかに単位行列 \( E_n \) であるので、\( B = CA^{-1} \) となって、これは直交行列であることが分かる。

B の定める線形写像は \(x = x_1\) を \(y = y_1\) に移していて、B は直交行列なのでベクトルの長さを保つ。つまり、球面に制限すると像は再び球面上にある。明らかに全単射かつ連続であるので、示された。


これからの簡単な帰結としては球面の wedge sum \( S^n \vee S^m \) がどの点を同一視するのかによらないことが分かります。 線形代数は大事ですね。